久米:あのー。原子力の事故についてはどうお考えですか?
池上:色んな思いがありますが、ひとつ。「言霊(ことだま)」という言葉がありますね。言葉自体が、魂というか霊を持ってる、それ自体がチカラを持っている、というのがありまして、「原子力発電所は『 安 全 』だ」と建設する時に言ってました。
久米:うん。
池上:「 安 全 だ 」というとね、「じゃあ事故が起こったときにどうしよう」ということになると、「いや、『 安 全 』だから、事故が起きた時のことは想定しなくていいですよ。」という論理が、どこかで忍び寄ってくるわけですね。
久米:うん。
池上:海外ですと、「原子力発電は『安全』 だ け れ ど も 、もし何かがあったときの為に周辺の住民の避難訓練をやりましょう」という
ことをやっているわけです。日本ですと、「避難訓練をやりましょう。」って言っても、「え ? 『 安 全 』 な ん で し ょ ? 避難訓練が必要
なモノは作らないでくれ!」という話になるもんですから、結局、電力会社の関係会社の人たちが、住民の役をして、避難訓練をするということになったり、「
『 安 全 』 な ん だ か ら 、二重三重四重の安全対策は必要ないよね?」というある種の「言霊」にとらわれて現実を見ない。その結果、このよ
うな、「無様」な結果になっているんだな、という思いはしてますね。
久米:ボクもあれは「ぞっ」としたんですけど、あのー、水蒸気を抜いて圧力を下げる弁がありましたけど、あの弁はもともと付いてなかったんで
すってね?日本の原子炉には。「そういうこと」(事故)は起こらないから付ける必要はない!って付けてなかったんですけど、海外で付け始めたんで、「それ
じゃあ付けるか」ってんで、付けて助かったんですよ。危ないところだったって聞いてぞっとしましたけど。
池上:はい。